1.2 ベクトル
高校数学でも登場したベクトルという概念について改めて確認しよう.
Definition 1.1 (ベクトル) ベクトルとは,∀n∈N,xi∈R,i=1,2,…,nに対して
\begin{align} \boldsymbol x = \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix} \end{align}
とx_iを並べたものをいう.さらにこの例のように縦に並んでいるものを列(縦)ベクトルといい
\begin{align} \boldsymbol x = \begin{pmatrix} x_1, x_2, \ldots, x_n \end{pmatrix} \end{align}
のように横に並んでいるものを行(横)ベクトルという.
ベクトルに含まれる要素の数を次元と呼び,n次元であるベクトルのことを,n次元ベクトルという.例えば\boldsymbol x = (10, 3, 8)は3次元ベクトルである. 特に全ての成分が0であるようなベクトルを\boldsymbol 0,全ての成分が1であるようなベクトルと\boldsymbol 1とそれぞれ太字で表すことも多い.\boldsymbol 0はゼロベクトルと呼ぶ.
データを扱う際,一連の観測値の塊をベクトルとして表現できる.例えば,健康診断であればaさんの計測結果を(gender, age, height, weight)の順番に並べるとすれば\boldsymbol a = (1, 15, 175, 65)のように表せる.ここでは男性は1,女性は2というように対応させた.または期末テストの成績であれば(math, history, english)としておいてその点数を\boldsymbol a = (85, 60, 70)などと表すこともできる.
このように,数学的なベクトルという概念を実際のデータに適用し,その性質や演算を通して分析が行われていく.
Exercise 1.2 (ベクトルと次元) それぞれ行・列ベクトルのどちらかとその次元を答えよ.
\begin{align} \begin{matrix} \boldsymbol x_1 = (1, 2, 3, 2) & \boldsymbol x_2 = \begin{pmatrix} 5 \\ 6 \\ 7 \\ 10 \\ 4 \end{pmatrix} \end{matrix} \end{align}