1.3 行列
次に,行列について以下のように定義する.
Definition 1.2 (行列) \({}^{\forall}n, m \in \mathbb N, x_{ij} \in \mathbb R, i = 1,2,\ldots,n, j=1,2,\ldots,m\)に対して,
\[\begin{align} X = \begin{pmatrix} x_{11} & x_{12} & x_{13} & \cdots & x_{1m} \\ x_{21} & x_{22} & x_{23} & \cdots & x_{2m} \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ x_{n1} & x_{n2} & x_{n3} & \cdots & x_{nm} \end{pmatrix} \end{align}\]
のように,\(n\)行\(m\)列に要素\(x_{ij}\)を並べたものを行列という.また,行列をサイズを\(n \times m\)などと呼び,実数を要素に持つ\(n \times m\)行列全体の集合を\(\mathbb R^{n \times m}\)と表す.
特に全ての成分が\(0\)であるような行列をゼロ行列と呼び\(O\)で表すことが多い.
行列の各要素を行数\(i\)と列数\(j\)を用いて\(X(i,j)\)と表すこともある.これは行列\(X\)における\(i\)行\(j\)列成分を意味している.
行列はベクトルを拡張したものと捉えることができる.つまり\(n \times m\)行列は,\(m\)次元の行ベクトルを\(n\)個縦に並べたもの,または\(n\)次元の列ベクトルを\(m\)個横に並べたものとみなすことができる. ここで,\(i\)行目の行ベクトルを\(\boldsymbol x_{i\cdot}\),\(j\)行目の列ベクトルを\(\boldsymbol x_{\cdot j}\)と表せば\(n \times m\)行列\(X\)は
\[\begin{align} X = \begin{pmatrix} \boldsymbol x_{1 \cdot} \\ \boldsymbol x_{2 \cdot} \\ \vdots \\ \boldsymbol x_{n \cdot} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \boldsymbol x_{\cdot 1} & \boldsymbol x_{\cdot 2} & \cdots & \boldsymbol x_{\cdot m} \end{pmatrix} \end{align}\]
とベクトルを要素にもつベクトルと表すこともできる.
Exercise 1.3 (行列のサイズ) 次の問いに答えよ.
- 以下の行列のサイズをそれぞれ答えよ
\[\begin{align} \begin{matrix} A = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \end{pmatrix} & B = \begin{pmatrix} 20 & 22 & 10 & 22 & 13 & 40 \end{pmatrix} \end{matrix} \end{align}\]
- サイズが\(4 \times 3\)の実数行列全体の集合を記号を用いて表せ.