1.1 集合
ものの集まりを集合とその構成要素を元と呼ぶことにする.このとき元についてはあらかじめ重複を排除しておくものとする.つまり,同じ元はただ一つだけとしておく.
集合を\(S\)として
\[ S = \{ \rm apple, banana, orange \} \]
のように\(\{\}\)で囲み,元を列挙して記述しする.このように全ての元を列挙することを外延的記法という. しかし元が非常に多い,または無限にある場合は外延的記法を用いることはできない.そのよう場合は元が満たす条件を記述する内包的記法を用いる.例えば自然数全体の集合\(\mathbb N\)については
\[ \mathbb N= \{n | nは自然数\} \] や,自然数の偶数の集合\(A\)については
\[ A = \{ a | a = 2n ,n \in \mathbb N\} \]
のように表せば良い.ここで\(a\in A\)とは元\(a\)が集合\(A\)の要素であることを意味している(この否定を\(\notin\)で表す). また\(\{ 2, 4, 6, \ldots\}\)のように規則的に無限に続くことを表すこともしばしばある.
1.1.1 一般的な数の集合
特に統計学などでよく用いられる数の集合を紹介する.
- \(\mathbb N\): 自然数全体の集合
- \(\mathbb Z\): 整数全体の集合
- \(\mathbb Z_{+}\): 正の整数全体の集合
- \(\mathbb Z_{-}\): 負の整数全体の集合
- \(\mathbb Q\): 有理数全体の集合
- \(\mathbb R\): 実数全体の集合
- \(\mathbb R^{n}\): \(n\)次元の実数ベクトル全体の集合
- \(\mathbb R^{n \times m}\): \(n \times m\)の実数行列全体の集合
全体の集合,というとやや仰々しく思われるかもしれないがこれらを利用すると説明が簡潔にすむ場合も多い. 例えば,「変数\(x,y\)はそれぞれ実数とする」という表現はこれらの記号を用いれば「\(x,y \in \mathbb R\)」と表現できる.
Exercise 1.1 (集合の表現) 次の問題に答えよ.
- トランプのマークの集合(数字ではない)を記述せよ.
- 5の倍数の集合を内包的記法で表せ.
- 命題「\(14 \in A_{tramp}\)」の真偽を答えよ.ただし, \(A_{tramp}\)はトランプに書かれている数字全体の集合とする
- 命題「\({\rm elephant} \in A_{animal}\)」の真偽を答えよ.ただし \(A_{animal}\)は動物全体の集合とする.