1.5 加減とスカラー倍
ベクトル・行列における加法,減法は次元またはサイズが一致する場合において次のよう定義される. \(\boldsymbol x, \boldsymbol y \in \mathbb R^{n}\)として
\[ \begin{align} \boldsymbol x \pm \boldsymbol y = \begin{pmatrix} x_1 \pm y_1, x_2 \pm y_2, \ldots, x_n \pm y_n \end{pmatrix} \end{align} \]
すなわち,同じ位置にある要素をそれぞれ足したベクトルとなる.
同様に行列については\(X, Y \in \mathbb R^{n \times m}\)として
\[ \begin{align} X \pm Y = \begin{pmatrix} x_{11} \pm y_{11} & \ldots & x_{1m} \pm y_{1m} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ x_{n1} \pm y_{n1} & \ldots & x_{nm} \pm y_{nm} \\ \end{pmatrix} \end{align} \] であり,こちらも同じ位置にある要素を足したベクトルである. 定義から明らかではあるがゼロベクトル,ゼロ行列を足す・または引くという操作の結果,元のベクトル・行列は変化しないことがわかる.
ベクトル・行列をスカラー倍するということは、ある実数\(c\)に対して、ベクトルまたは行列の要素全てを\(c\)倍することをいう. 例えばベクトル\(\boldsymbol x = (x_1, x_2, \ldots, x_n)\)の場合でいえば、
\[ c \boldsymbol x = (c x_1, c x_2, \ldots, c x_n) \]
となる。行列\(X\)の場合も同様である.
Exercise 1.4 (行列の加減) 次の計算をせよ.
\[\begin{align} \begin{matrix} \begin{pmatrix} 12 \\ 2 \\ 51 \\ 33 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 21 \\ 34 \\ 1 \\ 9 \end{pmatrix} , \hspace{5mm} \begin{pmatrix} 66 & 82 \\ 50 & 63 \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} 6 & 57 \\ 44 & 78 \end{pmatrix} \end{matrix} \end{align}\]