1.9 交換法則

結合法則に加えて計算式の左右を入れ替えるような操作を交換法則(Commutative law)と呼ぶ。これは以下の場合に成り立つ.

\[ \begin{align} \boldsymbol a \pm \boldsymbol b &= \boldsymbol b \pm \boldsymbol a \\ \boldsymbol a \circ \boldsymbol b &= \boldsymbol b \circ \boldsymbol a \hspace{5mm} (\boldsymbol a^\top \boldsymbol b = \boldsymbol b^\top \boldsymbol a) \\ A \pm B &= B \pm A \\ \end{align} \] ここで\(\boldsymbol a^\top\)\(\boldsymbol a\)を転置したものを指すが,転置の操作については後述する. ここには行列の積が入っていない(仮に成り立つとすれば\(AB=BA\)).

また内積の表現としては\(\boldsymbol a^\top \boldsymbol b\)のように単にベクトルを並べるだけの場合もあるので注意されたい。

実は行列の積を扱う場合一般には\(AB=BA\)が成り立つとは限らない.定義から分かるように\(A \in \mathbb R^{n \times m}, B \in \mathbb R^{m \times l}\)という サイズの場合\(AB\)は計算可能だが\(BA\)\((m \times l) \times (n \times m)\)となり\(l,n\)が一致する場合のみ計算可能となる.

\(AB\)を計算する上では一般に\(l,n\)の数は同じでなくても良い.