1.22 逆行列の計算
\(A \in \mathbb R^{n\times n}\)が逆行列(inverse matrix)を持つか,さらに持つのであればそれがどんな行列かを求めるために,行列の基本変形を利用することができる. 具体的には,
- 行列\(A\)の隣に同じ字数の\(n\)次単位行列\(I_n\)を並べて書いておく.
- 行列\(A\)を基本変形によって単位行列に変形していく
- 上記の基本変形と同じ操作を\(I_n\)にも行っていく
という操作を行えば良い.最終的に\(A\)を単位行列に変更できたとすると,\(I_n\)から変形した結果の行列が\(A^{\top}\)となっている. 例えば\(n=3\)であれば以下のように\(A\)と\(I_n\)を並べて基本変形を行っていけば良い.
\[ \begin{align} \left[ \begin{array}{ccc|ccc} a_{11} & a_{12} & a_{13} & 1 & 0 & 0 \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} & 1 & 0 & 0 \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} & 1 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{align} \]
行列の基本変形を行っていくと,最終的に単位行列に変形できない行列も存在する. 単位行列に変形できない場合は逆行列が存在しない,つまり特異行列である.
Exercise 1.13 (行列の基本変形) 次の2つの行列について,行列の基本変形を用いてそれぞれ逆行列があるかを調べよ. また存在するのであればその逆行列を求めよ
\[\begin{align} \left[ \begin{array}{ccc|ccc} 4 & 3 \\ -1 & 2 \\ \end{array} \right], \hspace{5mm} \left[ \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 2 \\ 2 & 4 \\ \end{array} \right] \end{align}\]