6.4 Confirmatory Factor Analysis(確認的因子分析)

探索的因子分析が多数の変数の背後にある潜在的因子を探索的に探る分析手法であるのに対し,確認的因子分析(検証的因子分析)はすでにある因子モデルが観察データにあてはまると言えるかどうかを確認するための分析手法です。

**Confirmatory Factor Analysis**

図6.7: Confirmatory Factor Analysis

  • Factors(因子) 分析に使用する因子モデルを指定します。
  • | Residual Covariances(残差共分散) 因子によって説明しきれない残差(独自因子)の間で共分散(または相関係数)を算出したい場合に使用します。
  • | Options(オプション) 分析における欠損値の扱いと,計算上の制約条件についての設定を行います。
  • | Estimates(推定値) 因子や残差の推定値に関する設定を行います。
  • | Model Fit(モデル適合度) モデル全体の適合度に関する情報の設定を行います。
  • | Additional Output(追加の出力) 分析結果に基づいてモデルの適合度を向上させるための参考指標などについて設定します。

6.4.1 Residual Covariances(残差共分散)

残差共分散に関する設定を行います。

**Residual Covariances**

図6.8: Residual Covariances

  • Residual Covariances(残差共分散) 残差の共分散を推定したい変数ペアを指定します。

6.4.2 Options(オプション)

欠損値の扱いや制約についての設定を行います。

**Options**

図6.9: Options

  • Mission Values Method(欠損値の処理方法)
    • Full information maximum likelihood(完全情報最尤推定法) 他の測定値から欠損値を推定した上で分析します。
    • Exclude cases listwise(データ行ごと除外) 欠損値が含まれるデータ行全体を分析から除外します。
  • Constraints(制約)
    • Factor variances = 1(因子の分散を1に固定) 因子の分散を1に固定した場合の計算結果を表示します。
    • Scale factor = scale first indicator(最初の変数の係数を基準として使用) 各因子の最初の変数の係数を1に固定した場合の計算結果を表示します。

6.4.3 Estimates(推定値)

推定値の算出に関する設定を行います。

**Estimates**

図6.10: Estimates

  • Results(結果)
    • Factor covariances(因子共分散) 因子の分散,および因子間の共分散または相関係数を算出します。
    • Factor intercepts(因子切片) 因子の切片についての推定量を算出します。
    • Residual covariances(残差共分散) 残差の分散,および指定した変数間での残差の共分散,または相関係数を算出します。
    • Residual intercepts(残差切片) 残差の切片についての推定量を算出します。
  • Statistics(統計量)
    • Test statistics(検定統計量) 推定した各係数についての有意性検定の結果を表示します。
    • Confidence interval(信頼区間) 各係数について,信頼区間の算出を行います。
      • Interval [   ]% 信頼区間の幅を指定します。
    • Standardized estimate(標準化推定値) 各係数について,標準化された値を算出します。

6.4.4 Model Fit(モデル適合度)

モデル適合度に関する設定を行います。

**Model Fit**

図6.11: Model Fit

  • Test for Exact Fit(適合度検定)
    • χ² test(χ²検定) モデル適合度についてのχ²検定の結果を表示します。
  • Fit Measures(適合度指標)
    • CFI(比較適合度指標) モデルのあてはまりのよさについての指標を示します。この値が1に近いほどあてはまりが良いことを示します。
    • TLI(タッカー=ルイス指数) モデルのあてはまりのよさについての指標を示します。この値が1に近いほどあてはまりが良いことを示します。
    • SRMR(標準化残差2乗平均平方根) モデルの残差の大きさについての指標を示します。この値が0に近いほど残差が小さいことを示します。
    • RMSEA(近似誤差2乗平均平方根) モデル残差の大きさについての指標を示します。この値が0に近いほど残差が小さいことを示します。
    • AIC(赤池情報量規準) モデル残差の相対的な大きさについての情報を示します。この値が小さいほど残差が小さいことを示します。
    • BIC(ベイズ情報量規準) モデル残差の相対的な大きさについての情報を示します。この値が小さいほど残差が小さいことを示します。

6.4.5 Additional Output(その他の出力)

その他の出力に関する設定を行います。

**Additional Output**

図6.12: Additional Output

  • Post-Hoc ModelPerformance(モデルの事後修正)
    • Residuals observed correlation matrix(相関行列の残差) モデルから算出される相関係数とデータから算出される相関係数の差を求めます。
      • Highlight values above [   ](大きい値を強調) 指定値よりも大きな値を強調表示します。初期値は0.1です。
    • Modification indices(修正指数) モデル適合度の向上につながりそうな修正候補を指数として示します。
      • Highlight values above [   ](大きい値を強調) 指定値よりも大きな値を強調表示します。初期値は3です。
  • Plots(作図)
    • Path diagram(パス図) モデルのパス図を作成します。