3.3 Repeated Measures ANOVA(反復測定分散分析)

反復測定分散分析は,連続型(inline)の従属変数と,1つあるいは複数の独立変数(名義型(inline)または順序型(inline))の影響関係を検討するための分析手法で,1つ以上の独立変数が被験者内要因(「前・後」など,異なる水準の測定値を同一被験者から得るもの)である場合に用いられます。この分析では共変量を使用すること(反復測定共分散分析)も可能です。

なお,この分析で使用できるデータは,データ行1行につき被験者1名分の測定値が入力された「ワイド形式」である必要があります。

**Repeated Measures ANOVA**

図3.10: Repeated Measures ANOVA

  • Dependent Variables(従属変数) 分析対象の測定値が入力されている変数を指定します。

  • Repeated Measures Factors(反復測定要因) 繰り返し要因,および各水準のラベルを設定します。

  • Repeated Measures Cells(反復測定セル) 繰り返し要因の各水準に対応する測定値が含まれる変数を指定します。

  • Between Subject Factors(参加者間要因) 繰り返し測定を含まない要因を指定します。

  • Covariates(共変量) 共変量として使用する変数を指定します。

  • Effect Size(効果量) 主効果および交互作用の効果量を算出します。

    • Generalised η²(一般化イータ2乗) 効果量として一般化η²(一般化イータ2乗,η²\(_{\textsf{G}}\))を算出します。
    • η²(イータ2乗) 効果量としてη²(イータ2乗)を算出します。
    • partial η²(偏イータ2乗) 効果量として偏η²(偏イータ2乗,η²\(_{\textsf{p}}\))を算出します。
  • Dependent Variable Lable(従属変数ラベル)

    • [   ] 従属変数の名前を設定します。
  • | Model(モデル) 分析モデルに関する設定を行います。

  • | Assumption Checks(前提チェック) 分析の前提が満たされているかどうかを確認します。

  • | Post Hoc Tests(事後検定) 分散分析の事後検定に関する設定を行います。

  • | Estimated Marginal Means(推定周辺平均) 分析モデルに基づく各条件の平均値の推定値(推定周辺平均)を算出します。

  • | Options(オプション) グループについての要約情報を表示します。

3.3.1 Model(モデル)

分析のモデルを指定します。

**Model**

図3.11: Model

  • Repeated Measures Components(反復測定要素) 分析に含まれる反復測定要素の一覧です。
    • Model Terms(モデル項) 反復測定要素の主効果・交互作用を指定します。
  • Between Subjects Components(参加者間要素) 分析に含まれる参加者間要素の一覧です。
    • Model Terms(モデル項) 参加者間要素要素の主効果・交互作用を指定します。
  • Sum of squares(2乗和) モデル項の仮説検定方略を指定します。指定可能な方略は次のうちのいずれかです。
    • Type 2(タイプ2) 対象となるモデル項を含むモデルと,その項を要素として含むすべての項を除いたモデルとの間で比較を行います。
    • Type 3(タイプ3) すべてのモデル項を含むモデルと,対象の項を除いたモデルとの間で比較を行います。

3.3.2 Assumption Checks(前提条件チェック)

正規性の検定など,分析の前提条件をチェックします。

**Assumption Checks**

図3.12: Assumption Checks

  • Sphericity tests(球面性検定) 球面性検定を行います。
  • Sphericity corrections(球面性補正) 球面性の前提が満たされない場合における補正方法を指定します。
    • None(なし) 補正は行いません
    • Greenhouse-Geisser(グリーンハウス=ガイザー推定) グリーンハウス=ガイザー推定による補正を行います。
    • Huynh-Feldt(ヒューン=フェルト推定) ヒューン=フェルト推定による補正を行います。
  • Homogeneity test(等質性検定) 分散の等質性の検定を行います。
  • Q-Q Plot(Q-Qプロット) 正規Q-Qプロットを作成します。

3.3.3 Post Hoc Tests(事後検定)

事後検定としての多重比較に関するオプションです。

**Post Hoc Tests**

図3.13: Post Hoc Tests

  • Correction(修正) 多重比較における検定統計量や有意水準の修正について設定します。
    • No correction(修正なし) 検定統計量や有意水準を修正せずに多重比較を実施します。
    • Tukey(テューキー) テューキー法を用いて検定統計量の修正を行います。
    • Scheffe(シェフェ) シェフェ法を用いて検定統計量の修正を行います。
    • Bonferroni(ボンフェロニ) ボンフェロニ法を用いて有意水準の修正を行います。
    • Holm(ホルム) ホルム法を用いて有意水準の修正を行います。

3.3.4 Estimated Marginal Means(推定周辺平均)

各主効果の周辺平均値(分析モデルに基づく平均値)の推定に関する設定を行います。

**Estimated Marginal Means**

図3.14: Estimated Marginal Means

  • Marginal Means(周辺平均値) 周辺平均値の算出対象を指定します。
  • Output(出力) 周辺平均値の出力方法を指定します。
    • Marginal means plots(周辺平均値のグラフ) 周辺平均値の推定値をグラフで示します。
    • Marginal means tables(周辺平均値の表) 周辺平均値の推定値を表で示します。
  • General Options(全般オプション)
    • Equal cell weights(均等重みづけ)  各セルに均等に重みづけを行うか,セル度数で重みづけを行うかの設定を行います。ここにチェックが入った状態では,各セルは均等に重みづけされます。
    • Confidence interval [   ]%(信頼区間) 周辺平均値の信頼区間を算出します。
  • Plot(作図)
    • Error bars(誤差線) 図に示す誤差線(エラーバー)の種類を指定します。
      • None(なし) 誤差線を表示しません。
      • Confidence interval(信頼区間) 指定した信頼区間の幅で誤差線を作成します。
      • Standard Error(標準誤差) 誤差線に標準誤差を示します。
    • Observed scores(観測値) データ中の測定値をデータ点として図に示します。

3.3.5 Options(オプション)

**Optionss**

図3.15: Optionss

  • Group summary(グループの要約) 繰り返しなし要因の各水準における標本サイズや,分析から除外された測定値の個数などの情報を表示します。