3.2 ANOVA(分散分析)
分散分析(ANOVA)は,1つの連続型()の従属変数と,1つあるいは複数の独立変数(名義型(
)または順序型(
))の影響関係を検討するための分析手法です。
分散分析は残差(誤差)が正規分布であり,かつすべてのグループで分散が等しいという前提のもとに検定が行われます。
図3.3: ANOVA
Dependent Variables(従属変数) 分析対象の測定値が入力されている変数を指定します。
Fixed Factors(固定要因) 分析の独立変数(実験条件など)を指定します。
Model Fit(モデル適合度) モデルの適合度について検定を行います。
- Overall model test(モデル全体の検定) モデル全体の説明力が0でないかどうかについての検定を行います。
Effect Size(効果量) 主効果および交互作用の効果量を算出します。
- η²(イータ2乗) 効果量としてη²(イータ2乗)を算出します。
- partial η²(偏イータ2乗) 効果量として偏η²(偏イータ2乗,η²\(_{\textsf{p}}\))を算出します。
- ω²(オメガ2乗) 効果量としてω²(オメガ2乗)を算出します。
(モデル) 分析モデルに関する設定を行います。
(前提チェック) 分析の前提が満たされているかどうかを確認します。
(対比) 分析における対比の方法を指定します。
(事後検定) 分散分析の事後検定に関する設定を行います。
(推定周辺平均) 分析モデルに基づく各条件の平均値の推定値(推定周辺平均)を算出します。
(保存) 分散分析モデルの誤差(残差)を変数として保存します。
3.2.1 Model(モデル)
分析のモデルを指定します。
図3.4: Model
Components(要素) 分析に含まれる要素(コンポーネント)の一覧です。
Model Terms(モデル項) 分析のモデル(主効果・交互作用)を指定します。
Sum of squares(2乗和) モデル項の仮説検定方略を指定します。指定可能な方略は次のうちのいずれかです。
- Type 1(タイプ1) モデル項を逐次追加し,項を追加する前と追加した後のモデルの間で比較を行います。モデル項を投入する順序により結果が異なる場合があります。
- Type 2(タイプ2) 対象となるモデル項を含むモデルと,その項を要素として含むすべての項を除いたモデルとの間で比較を行います。
- Type 3(タイプ3) すべてのモデル項を含むモデルと,対象の項を除いたモデルとの間で比較を行います。
3.2.2 Assumption Checks(前提条件チェック)
正規性の検定など,分析の前提条件をチェックします。
図3.5: Assumption Checks
- Homogeneity test(等質性検定) 分散の等質性の検定を行います。
- Normality test(正規性検定) 分布の正規性についての検定を行います。
- Q-Q Plot(Q-Qプロット) 正規Q-Qプロットを作成します。
3.2.3 Contrasts(対比)
分析における対比の方法を指定します。
図3.6: Contrasts
指定できる対比には次のものがあります。
- none(なし) 対比を指定しません。
- deviation(偏差対比) 基準レベルを除く各水準の平均値と,全体の平均値の間で比較を行います。
- simple(単純対比) それぞれの要因における基準レベルの平均値と,それ以外の水準の平均値との比較です。
- difference(差分対比) 各水準の平均値とそれ以前の水準全体の平均値との間で比較を行います。。
- helmert(ヘルマート対比) 各水準の平均値(最後を除く)とそれ以降の水準全体の平均値との間で比較を行います。
- repeated(反復対比) 各水準(最後を除く)の平均値とその直後の水準の平均値との間で比較を行います。
- polynomial(多項式対比) その要因の各水準の平均値の変化に,1次式や2次式などによって表せる傾向があるかどうかを検討します
3.2.4 Post Hoc Tests(事後検定)
事後検定としての多重比較に関するオプションです。
図3.7: Post Hoc Tests
- Correction(修正) 多重比較における検定統計量や有意水準の修正について設定します。
- No correction(修正なし) 検定統計量や有意水準を修正せずに多重比較を実施します。
- Tukey(テューキー) テューキー法を用いて検定統計量の修正を行います。
- Scheffe(シェフェ) シェフェ法を用いて検定統計量の修正を行います。
- Bonferroni(ボンフェロニ) ボンフェロニ法を用いて有意水準の修正を行います。
- Holm(ホルム) ホルム法を用いて有意水準の修正を行います。
- Effect Size(効果量) 多重比較における効果量の算出について設定します。
- Cohen’s d(コーエンのd) コーエンのdを算出します。
- Confidence interval [ ]%(信頼区間) 効果量dの信頼区間を算出します。
3.2.5 Estimated Marginal Means(推定周辺平均)
各主効果の周辺平均値(分析モデルに基づく平均値)の推定に関する設定を行います。
図3.8: Estimated Marginal Means
- Marginal Means(周辺平均値) 周辺平均値の算出対象を指定します。
- Output(出力) 周辺平均値の出力方法を指定します。
- Marginal means plots(周辺平均値のグラフ) 周辺平均値の推定値をグラフで示します。
- Marginal means tables(周辺平均値の表) 周辺平均値の推定値を表で示します。
- General Options(全般オプション)
- Equal cell weights(均等重みづけ) 各セルに均等に重みづけを行うか,セル度数で重みづけを行うかの設定を行います。ここにチェックが入った状態では,各セルは均等に重みづけされます。
- Confidence interval [ ]%(信頼区間) 周辺平均値の信頼区間を算出します。
- Plot(作図)
- Error bars(誤差線) 図に示す誤差線(エラーバー)の種類を指定します。
- None(なし) 誤差線を表示しません。
- Confidence interval [ ]%(信頼区間) 指定した信頼区間の幅で誤差線を作成します。
- Standard Error(標準誤差) 誤差線に標準誤差を示します。
- Observed scores(観測値) データ中の測定値をデータ点として図に示します。
- Error bars(誤差線) 図に示す誤差線(エラーバー)の種類を指定します。
3.2.6 Save(保存)
分析結果を新たな変数として保存します。
図3.9: Save
- Residuals(残差) 分析モデルの残差を新たな変数として保存します。