1.5 積の微分・商の微分
ある関数同士の積や商の形で表される関数を考えた時,その微分形はどうなるだろうか. 実は定数倍や分配法則のように単純な結果とはならない.
Theorem 1.4 (積・商の微分) 関数\(f,g\)を微分可能とする.このとき以下が成り立つ.
\[\begin{align} \tag{1.2} & (f(x)g(x))' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x) \end{align}\]
\[\begin{align} \tag{1.3} & \left( \frac{f(x)}{g(x)} \right)' = \frac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{g(x)^2}, \hspace{3mm} (g(x) \neq 0) \end{align}\]
それぞれの証明については(椎名・姫野・保科 2019)を参照のこと.
次に,商の微分を利用した\(\tan x\)の微分について紹介する.
Example 1.1 (商の微分の利用例) いま\(f(x) = \tan x\)とする.この微分を考えると
\[\begin{align} \begin{aligned} (\tan x)' &= \left( \frac{\sin x}{\cos x} \right)' \\ &= \frac{\sin^2 x + \cos^2 x}{\cos^2 x} \\ &= \frac{1}{\cos^2 x} \end{aligned} \end{align}\]
となる.
Exercise 1.3 (積・商の微分) 次の関数の微分を求めよ.
\[\begin{align} \tag{1.4} \begin{aligned} \text{1. }& x^2 \sin x \\ \text{2. }& x e^x \\ \text{3. }& \frac{1}{x} \\ \text{4. }& \frac{1+x^3}{\log x} \\ \text{5. }& \frac{1}{1 + e^{-(a+bx)}} \end{aligned} \end{align}\]