2.5 置換積分
次に部分積分と同様によく用いられるテクニックである置換積分について紹介する.
Theorem 2.7 (置換積分) 区間\(I=[a,b]\)で定義された関数\(f(x)\)の定積分を考える.このとき,関数\(g(t)\)が単調かつ,\(a=g(\alpha), b=g(\beta)\)とする. このとき,\(x=g(t)\)とすることで,次が成り立つ.
\[\begin{align} \int_a^b f(x) dx = \int_\alpha^\beta f(g(t)) {dx \over dt} dt = \int_\alpha^\beta f(g(t)) g'(t) dt \end{align}\]
一方,\(\int_a^b f(h(x)) dx\)に対して,\(t=h(x)\)という変換を行う場合は,
\[\begin{align} \int_a^b f(h(x))dx = \int_{h(b)}^{h(a)} f(t) {1 \over dt / dx} dt = \int_{}^{} f(t) {1 \over h'(h^{-1}(t))} dt \end{align}\]
となる.これらの式変形を置換積分という.
証明は(椎名・姫野・保科 2019)を参照のこと.
置換積分は,積分変数をある関数によって変換した先の空間で積分することを考えている. もし変換後の方が積分が求めやすければ問題なさそうであるが, 実際求めたいのはもとの空間での積分(面積)であるので,もともとの空間と置換した際の関数によって 写された先の空間の面積の関係を考慮しなければならない.その比率が\(dx/dt\)として表されているのである.
References
椎名・姫野・保科. 2019. データサイエンスのための数学. データサイエンス入門シリーズ. 講談社サイエンティフィク.