1.10 高階導関数

関数を微分した結果も関数であるので,仮定を満たせばその関数もまた微分可能である.すなわち,微分した関数の微分を考えることができる.このように,元の関数から数えて\(n\)回微分した関数を\(n\)階導関数・\(n\)階微分などという.

Theorem 1.12 (n階微分) 関数\(f(x)\)の導関数\(f'(x)\)をさらに微分したものを\(2\)階導関数といい,\(f''(x)\)\(f^{(2)}(x)\)と表す.同様に,\(n-1\)階導関数\(f^{(n-1)}\)を微分したものを\(n\)階導関数といい\(f^{(n)}\)と表す.一般に,2階以上の導関数を高階導関数という.

また,関数\(f\)\(n\)階まで微分可能である時,\(n\)階微分可能などという.

Exercise 1.8 (高階導関数) \(f(x) = 4 x^4\)を可能な限り繰り返し微分せよ.さらに何階導関数であるかも答えよ.

Definition 1.4 (変曲点) 関数\(f(x)\)が2階微分可能であるとする.このとき,\(f''(a) = 0\)となる点のうち,\(x=a\)の周りにおいて,以下のいずれかに該当するとき,\(x=a\)\(f(x)\)の変曲点という.

  1. \(x < a \Rightarrow f''(x) < 0\)かつ\(x > a \Rightarrow f''(x) > 0\)
  2. \(x < a \Rightarrow f''(x) > 0\)かつ\(x > a \Rightarrow f''(x) < 0\)

つまり,変曲点とは,傾きそのものの増減の傾向が変わる点である.

傾きの大きさが減り続ければ関数の値は加速度的に小さくなり,傾きの大きさが増え続ければ関数の値は加速度的に大きくなる.傾きの大きさの増減の傾向が変わるポイントは,関数形を知る上で重要なのである.