2.1 原始関数
原始関数を微分の逆操作の結果として,以下のように定義する.
Definition 2.1 (原始関数) 関数f(x)の原始関数とは
F′(x)=f(x)
となるような関数F(x)のことである.
微分においては,定数項の微分が0になることから,F′(x)+CとF′(x)という二つの関数の微分はどちらもf(x)となる. すなわち,原始関数F′(x)は定数項を考慮すれば無数に存在する.この微分操作によって無視できる定数項を積分定数(constant of integration)と呼ぶ. ゆえに,積分の結果を原始関数として表現する場合は原則として積分定数を明示する.慣習的にはConstantの頭文字をとってCとして
F′(x)+C,(C は積分定数) などと表す.
微分の性質から直ちに原始関数について次の定理を得る.
Theorem 2.1 (原始関数の性質) 関数f(x),g(x)について,次が成り立つ.
- ∫af(x)dx=a∫f(x)dx,(aは定数)
- ∫(f(x)±g(x))dx=∫f(x)dx±∫g(x)dx
一般的な関数の微分の結果をまとめた表の対応として,原始関数をまとめた表を以下に示す(見やすさのため,ここでは積分定数は無視する).
f(x)xk(k≠1)ex1/xax1xloga∫f(x)dx1k+1xk+1exlogx1logaaxlogax f(x)sinxcosx1/cos2x1√1−x2−1√1−x211+x2∫f(x)dx−cosxsinxtanxsin−1xcosx−1tanx−1
Exercise 2.1 (不定積分) 以下の積分を計算せよ.
- ∫4dx
- ∫(3x3+2x)dx
- ∫(sinx+√3cosx+ex)dx