1.2 余因子展開

2次や3次であれば比較的簡単に行列式を求めることができるが, 4次以上となると同様の手順で求めるのは少し難しくなる. そこで行列式を求める方法として,対象の行列をより小さな行列の行列式に分解するという方法が用いられる. そのために「余因子」という概念を導入する.

Definition 1.2 (行列の余因子) ARn×nについて,Aから第i行と第j列を取り除いた行列をAijとする. このとき

˜Aij=(1)(i+j)detAij

を行列Aaij余因子という.

例えば,AR3×3の行列式の場合は,

A=(a11a12a13a21a22a23a31a32a33)

以下のように9つのAijR2×2という余因子を得ることができる.

˜A11=(1)(1+1)det(a22a23a32a33)˜A12=(1)(1+2)det(a21a23a31a33)˜A13=(1)(1+3)det(a21a22a31a32)˜A21=(1)(2+1)det(a11a13a31a33)˜A22=(1)(2+2)det(a11a13a31a33)˜A23=(1)(2+3)det(a11a12a31a32)˜A31=(1)(3+1)det(a12a13a22a23)˜A32=(1)(3+2)det(a11a13a21a23)˜A33=(1)(3+3)det(a11a12a21a22)

Exercise 1.2 (余因子) 次の行列について余因子を全て求めよ.

(321110121)