1.7 条件付き確率

全体集合\(S\)に対する部分事象\(A,B\)を考える.この時,\(B\)を与えたときの\(A\)の確率を条件付き確率という. 例えば,\(B = \{ 晴れ, 雨 \}\)として\(A = \{ 傘を持っていく, 傘を持って行かない \}\)としよう.直感的には,単純に傘を持っていくかどうかの確率と,天気がわかっている元での傘を持っていくかどうかの確率は異なると思える(雨とわかっているなら傘は持っていくし,晴れなら持って行かない確率の方が断然高いだろう).

これを数式を用いて次のように定義する.

Definition 1.3 (条件付き確率) \(S\)の任意の部分事象\(A,B\)を考える.ここでは\(P(B) > 0\)とする.事象\(B\)を与えた時の事象\(A\)条件付き確率

\[\begin{align} P(A|B) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)} \end{align}\]

と定義する.

Exercise 1.5 (互いに疎な場合の条件付き確率) \(S\)の任意の部分事象\(A,B\)を考える.\(P(B) > 0\)\(A \cap B = \phi\)のとき,\(P(A|B)\)の値を求めよ.

最後に,積事象\(A \cap B\)の確率を考えよう.

Theorem 1.3 (乗法公式) 積事象\(A \cap B\)の確率は次のように求められる.

\[\begin{align} P(A \cap B) = P(B) P(A|B) \end{align}\]

さらに,もし\(P(A \cap B) = P(A)P(B)\)となるならば,\(A,B\)独立であるという.

\(A,B\)が独立の時,\(P(A|B) = P(A)\)ということなので,\(A\)で条件づけられたとしても,それは \(B\)の確率に何ら関係ないことを意味している. その意味で,\(A,B\)は独立ということなのである.この場合,同様に\(P(B|A) = P(B)\)も成り立つ.

Exercise 1.6 (条件付き確率) 2つのサイコロ\(X,Y\)を投げることを考える.

  1. 1つ目のサイコロの目が\(3\)の時,2つのサイコロの目の積が\(12\)となる確率\(P(XY=12|X=3)\)を求めよ.また併せて,2つのサイコロの目の積が\(12\)となる確率\(P(XY=12)\)も求めよ.
  2. 1つ目のサイコロの目が偶数の時,2つのサイコロの目の和が\(8\)になる確率\(P(X+Y=8|X \in \{2,4,6\})\)を求めよ.