1.1 順列と組み合わせ

1.1.1 順列

異なる\(n\)個のものを右から全てを一列に一つずつ並べていくとして,その並び方は何通りあるだろうか. この場合は,最初の一つは\(n\)通り,次の一つは\(n-1\)通り,と続いていく.このようにある整数\(n\) について,\(n \times (n-1) \times \cdots \times 2 \times 1\)とししたものが,並べ方の場合の数となる. これを順列と呼ぶ.また,この計算のことを\(n!\)と表し\(n\)の階乗と呼ぶ.

\[\begin{align} n! = \prod_{k=1}^{n} k = n \times (n-1) \times \cdots \times 2 \times 1 \end{align}\]

次に,\(n\)個のうち\(r > 0\)個を右から一列に並べていくことを考えよう.明らかに,計算上は\(n \times (n-1) \times \cdots \times (n-r+2) \times (n-r+1)\)とすれば良い.これを\(_n P_r\)と表す. これは,\(n!\)\((n-r)!\)で割ったものとして表せるので

\[\begin{align} _n P_r = \frac{n!}{(n-r)!} \end{align}\]

と表現されることが多い.

次に\(n\)個のうち,同じものがいくつかあった場合を考える.例えば赤玉が\(n_{\text{red}}\),白玉が\(n_{\text{white}}\)とする.これらを全て並べた時の場合の数はどうなるだろうか.この場合は,一度全てを異なるものとみなしておいて,その後で同じものの並び順を考慮するのが良い.

全てを異なると見なす場合,明らかに\(n = n_{\text{red}} n_{\text{white}}\)の順列\(n!\)である. しかし,実際には赤玉,白玉は同じものなので,同じ並べ方を重複して数え上げていることになる. 同じ色だけに着目した時,その並べ方はそれぞれ\(n_{\text{red}}!, n_{\text{white}}!\)通りあるので, これだけ重複して数え上げていることがわかる.すなわち,この場合は

\[\begin{align} \frac{n!}{n_{\text{red}}!n_{\text{white}}!} \end{align}\]

と計算すれば良いことがわかる.さらに一般化すれば,\(k\)種類のものがそれぞれ\(n_k\)個ずつある場合, 全てを一列に並べる時の場合の数は

\[\begin{align} \frac{n!}{\prod_{i=1}^{k} n_i!} \end{align}\]

と計算することができる.

1.1.2 組み合わせ

次に組み合わせの数について考える.まずこれを表す記号として\(_n C_r\)\(\displaystyle \binom{n}{r}\)が用いられる. さて\(n\)個の異なるものから\(r\)個選ぶ時,その場合の数は幾つになるだろうか.

ここまでに見てきた順列\(_n P_r\)は,

  1. \(n\)個のものから\(r\)個のものを取り出す
  2. 取り出した\(r\)個のものを全て並べる

という2段階の行為として分解できる.それぞれ\(_n C_r\)通り,\(r!\)通りあることを考えると,

\[\begin{align} _n P_r = _n C_r \times r! \Longleftrightarrow _n C_r = \frac{_n P_r}{r!} = \frac{n!}{(n-r)! r!} \end{align}\]

とできる.これが組み合わせの場合の数を求める公式である.

Exercise 1.1 (誕生日問題)

  1. A~Fまでの数字が書かれたカードが1枚ずつある.このとき,この6枚を一列に並べる時の並べ方の総数はいくつか.
  2. ある箱に赤玉が6個,白玉が5個,黒玉が8個あるとする.このとき,全てを一つずつ取り出して一列並べたとき,その並べ方の総数はいくつか.
  3. 25人のクラスで,誕生日が全員異なる場合の数と全ての場合の数を求めて, その割合を求めよ.このとき簡単のため閏年は無視する. また計算にはRを用いて良い.