2.6 期待値の線形性
期待値については,離散型・連続型いずれも線形性と呼ばれる性質が成り立つ.
Theorem 2.1 (期待値の線形性) いま,確率変数\(X\)と,定数\(c\),関数\(T(x), U(x)\)を考える.この時以下が成り立つ.
- \(E[c] = c\)
- \(E[cT(X)] = cE[T(X)]\)
- \(E[U(X) + T(X)] = E[U(X)] + E[T(X)]\)
特に定数\(c\)に対して期待値をとるとそのまま\(c\)となる操作は,定数\(c\)をあえて確率変数と見なすとわかりやすい.つまり,確率1で\(c\)を実現値に取る確率変数\(X\)と考えれば, これは離散型確率変数であり,その確率関数は
\[\begin{align} f(x) = \begin{cases} 1, & x = c \\ 0, & x \neq c \end{cases} \end{align}\]
であり,期待値が
\[\begin{align} E[X] = 1 \cdot c = c \end{align}\]
となる.
Exercise 2.3 (期待値の線型性) 確率変数\(X\)について
- \(X_1 = 3 + X\)
- \(X_2 = 3X\)
という変換を考える.それぞれの期待値を求めよ.