2.8 標準化・基準化

一次変換\(Y = a + bX\)によっての平均,分散がどのように変化するかを考えよう. 期待値については

\[\begin{align} E[Y] &= E[a + bX] \\ &= E[a] + bE[X] \\ &= a + b \mu \end{align}\]

となる.一方,分散については

\[\begin{align} V[Y] &= V[a + bX] \\ &= E[(a + bX - E[a + bX])^2] \\ &= b^2E[(X - E[X])^2] \\ &= b^2 V[X] \end{align}\]

となることがわかる.すなわち,確率変数を一次変換すると,期待値は変換の影響をそのまま受け,分散については定数倍の影響が二乗されて乗ってくるということになる.

この性質を利用して期待値を0,分散を1にするような一次変換を標準化・基準化と呼ぶ.

Theorem 2.3 (確率変数の標準化・基準化) 確率変数\(X\)を考え,\(E[X] = \mu\), \(V[X] = \sigma^2\)とする.このとき

\[\begin{align} Y = \dfrac{X - \mu}{\sigma} \end{align}\]

と変換した確率変数\(Y\)のは平均\(E[Y] = 0\),分散\(V[Y] = 1\)となる.

Exercise 2.5 (標準化) 確率変数\(X\)について\(Y = X - \mu\)とするとき,\(E[Y] = 0\)となることを示せ. ただし,\(\mu = E[X]\)である.