3.2 固有値・固有ベクトルの計算

固有値・固有ベクトルを求める際は,まず固有値を求め,次にそれぞれの固有値に対応する固有ベクトルを求める,という手順を踏む.

固有値は次の固有方程式から求めることができる.

Theorem 3.1 (行列の固有方程式) \(A \in \mathbb R^{n\times n}\)とする.このとき,

\[ \det (A - \lambda I_n) = 0 \]

固有方程式といい,固有方程式の解\(\lambda\)\(A\)の固有値となる.

簡単に,\(A \in \mathbb R^{2\times 2}\)の場合を見てみよう.このとき

\[ A = \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} \\ a_{21} & a_{22} \end{pmatrix}, \lambda I_2 = \begin{pmatrix} \lambda & 0 \\ 0 & \lambda \end{pmatrix} \]

である.固有方程式を考えると

\[ \det \begin{pmatrix} a_{11} - \lambda & a_{12} \\ a_{21} & a_{22} - \lambda \end{pmatrix} \]

となる.つまり,元の行列\(A\)の対角成分から\(\lambda\)を引いた行列について行列式を考え,それが0となるような変数\(\lambda\)を求めるという問題に帰着する.

3.2.1 固有方程式と固有値の関係

固有方程式は,固有値・固有ベクトルの定義から自然に導かれる方程式である. まず,定義より\(A \boldsymbol x = \lambda \boldsymbol x\)であるので,これを移項すると\((A - \lambda I_n)\boldsymbol x = \boldsymbol 0\)となる. もし行列\(A - \lambda I_n\)が正則であれば逆行列が存在して\(\boldsymbol x = \boldsymbol 0\)となるが,これは固有ベクトルは\(\boldsymbol 0\)ではない という仮定と矛盾する. すなわち,\(A - \lambda I_n\)は逆行列を持たず,\(\det (A - \lambda I_n) = 0\)であることが導かれる.またその逆も成り立つ. これは固有方程式そのものである.

Exercise 3.1 (固有値・固有ベクトルの計算) 次の行列の固有値を,固有方程式の解を求める手順で計算せよ.

\[\begin{align} A = \begin{pmatrix} 2 & 2 \\ 1 & 3 \end{pmatrix} \end{align}\]

すでに紹介した通り,この行列の固有値は\(4, 1\)でそれぞれ固有ベクトルは\((1/\sqrt{2}, 1/\sqrt{2})^\top, (2/\sqrt{5}, -1/\sqrt{5})^\top\)である.